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Channel: 錦之助ざんまい
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ラピュタ「錦之助映画祭り」その36

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 きのうは、92歳の最高齢現役女優、星美智子さんが、錦ちゃん祭りのお祝いと陣中見舞いに、ラピュタ阿佐ヶ谷に来てくださった。星さんとお会いするのは4年ぶり。1年半前に自宅の階段から落ちて腰骨を折り、2か月入院したそうで、歩くのがちょっと大変になったが、身体は健康で、頭も全然ボケていない。星さんは、世田谷区瀬田の一軒家にお嬢さん(英会話学校ECCの先生)と二人暮らしで、稼ぎ手のお嬢さんのために料理も洗濯もなさっている。最近まで、自分で小型の自家用車も運転していたが、88歳になった時に免許を返上したという。
 11時に瀬田のお宅へ車でお迎えに行き、昼前に阿佐ヶ谷へ到着。ラピュタは初めての星さん、ここの雰囲気が大変気に入ったらしく、ロビーの丸テーブルの前に腰かけ、紅茶を飲みながら早速お客さんと歓談。新文芸坐での星さんのトークショーに来たことがある人だったので、話が弾む。映画監督の細野辰興さんも見えて、話に加わる。なにしろ星さんに、戦後の東横・東映時代の裏話を訊いたら、止めどなく面白い話が飛び出す。記憶も衰えていない。
 本当は、星さんが錦ちゃんと共演している映画を上映して、その時にトークをしていただくつもりだったのだが、当てにしていた『青雲の鬼』の16ミリフィルムの状態が悪く、上映できなかった。錦之助の映画ではほかに、『勢ぞろい喧嘩若衆』『紅孔雀』『晴れ姿一番纏』『大菩薩峠 第二部・完結篇』『若き日の次郎長 東海道のつむじ風』に星さんは出演していて、何と言っても『大菩薩峠 第二部』が星さんの代表作だと思うが、内田吐夢監督作品は『宮本武蔵』5部作を優先したので、これも上映できなかった。誠に残念。
 今回はお客さんには告知なしの抜き打ちトークと言うか、わずか15分だったが、折角いらした星さんには12時半から『お坊主天狗』の上映前に錦ちゃんの思い出話を披露していただいた。仲睦まじかった錦ちゃんとひばりちゃんとのこと、お母さんのひなさんのこと、大勢の出演者と朝早くから待っていたら、錦ちゃんの都合で撮影が中止になったことなど。お客さんは30名位だったが、がらっぱちの江戸っ子婆さんが急に目の前に現れて、ベラベラ話したので驚いたことだろう。でも、最後に「みなさん、いつまでも元気で長生きしてください!」と星さんが言うと、暖かい拍手で送ってくれた。
 映画は見ないで、ロビーで記念写真を撮り、ラピュタを出て、近くの鰻屋へ。星さん、うな重(肝吸いとお新香付き)をご飯粒一つ残さず、おいしそうに平らげる。店を出たら、雨がポツポツ降り出し、車でお送りする途中で大雨に。午後3時半、家で待っていたお嬢さんのもとへ星さんを送り届け、私もほっと一息。「あと2年は持つと思うから、また呼んでよ」と言う星さんと固い握手を交わし、手を振りながら見送る星さんの笑顔を見ながら、星さん宅を後にした。






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