♬ヒャラーリ ヒャラリコ、ヒャリーコ ヒャラレロ 誰が吹くのか 不思議な笛だ♬
ラピュタで『笛吹童子』(1954年)三部作を見てきた。10年ぶりにスクリーンで見たせいか、大変面白かった。さすがに一世を風靡した東映娯楽版の会心作だけあって、見どころ満載。低予算でセットも何も安っぽく、特撮も大したことはないのだが、そこがまた、味があって良い、なんて言ったら、褒め過ぎか。子供向けとはいえ、こんな冒険時代活劇をよく作ったよなあと思う。錦・千代、大友、月形の男優陣、高千穂、田代の女優陣のキャスティングもぴったり。脇役では千石規子がいい。個性的な人物がたくさん出て来て、ストーリーもテンポ良く展開していくので、飽きない。当時の少年少女は、NHKのラジオドラマをずっと愛聴していて、翌年映画化されるや、期待に胸膨らませて、映画館に行ったのだというが、みんなハラハラ、ドキドキしながら見たにちがいない。
私は「笛吹童子世代」(1940年代生まれ)でなく、兄がそうだった。それで、父母に連れられて幼児の私(2歳)も見せられたらしいのだが、公開時の『笛吹童子』はまったく覚えていない。物心ついて見た『紅孔雀』はかすかに記憶があるのだが…。『笛吹童子』をちゃんと見たのはリバイバル上映(あるいはテレビ)で、小学生低学年の時だったと思う。
まあ、そんなことはどうでもいいが、今回私が『笛吹童子』見た日(金曜)のラピュタはほぼ満員。70歳以上の「笛吹童子世代」のお客さんばかりだった。今の若い人が『笛吹童子』を初めて見たら、どう思うのだろうか。で、たまたまラピュタのスタッフの女性がいっしょに見ていたので、終わってから尋ねてみた。「ほんとに面白かった!見て良かった。とくに第二部はあっという間に見終わっちゃった」
嬉しくなった私は、彼女を喫茶店へ誘い、ケーキを御馳走した。